ルーターのLANポートが、もう埋まっている。テレビ、ゲーム機、レコーダー、パソコン。次に挿すところがない。
そこで「スイッチングハブ」を調べると、「ギガビット対応」「1000Mbps」「8ポート」という言葉が並びます。
値段は2,500円から3,200円くらい。正直、どれも同じに見えます。
今回3つ選んで、メーカー公式の仕様表を1行ずつ読みました。すると、商品ページより仕様表のほうに条件が書いてありました。
「1000BASE-T」には、つなぐケーブル側の条件がある。カテゴリー5e以上で、芯が4対(8本)使われているものです。
そして口コミに、こういう声がありました。
ハブを通すと100mbpsに張り付いてしまいました。
ハブを買い替えても速くならない。その理由が、この条件です。
先に:この記事が向いていない人
- Wi-Fiを強くしたい人:ハブは有線の差し口を増やすものです。電波は増えません
- カメラやアクセスポイントに給電したい人:今回の3つはPoE非対応です
- 2.5Gbps・10Gbpsが欲しい人:今回は1Gbpsの3つ。2.5G対応は8,000円台からで、価格帯が別になります
- VLANなどを設定したい人:3つともアンマネージ(設定できない)タイプです
- 屋外や、熱がこもる場所で使いたい人:動作温度は0〜40℃です
選ぶときに見る3つの基準
基準1 その「1000Mbps」は、ケーブル次第で出ない
いちばん最初に見るのは、ハブではなくケーブルのほうです。
メーカーの仕様表には、速度ごとに必要なケーブルが書かれています。エレコムとバッファロー、2社の書き方はほぼ同じでした。
| 速度 | 必要なケーブル |
|---|---|
| 1000BASE-T(1000Mbps) | カテゴリー5e以上・4対 |
| 100BASE-TX(100Mbps) | カテゴリー5以上 |
| 10BASE-T(10Mbps) | カテゴリー3以上 |
カテゴリー5(無印)では、1000Mbpsは出ません。100Mbpsで止まります。
昔のルーターに付いてきたケーブルや、何年も前に買ったケーブルが、これに当たることがあります。見た目はほとんど変わりません。
もうひとつ、「4対」=8本の芯がすべて結線されていることも条件です。100Mbpsは2対(4本)でも通るので、細いケーブルには4本しか入っていないものがあります。
ケーブルの被覆には、たいてい「CAT5e」「CAT6」と印刷されています。買う前に、いま使っているケーブルを一度見てください。
ハブを通すと100mbpsに張り付いてしまいました。
この声は、ハブの不良とは限りません。ケーブルか、つないだ先の機器の側で止まっていることもあります。
基準2 ポート数は「つなぎたい数+1」
8ポートのハブを買っても、1つはルーターとの接続に使います。
実際に機器を挿せるのは、7つです。5ポートなら4つ。
4台つなぎたいから5ポート、と考えると、買った時点でちょうど埋まります。あとで1台増えたときに、また買い直すことになります。
この記事で比べた3つは、すべて8ポートです。つまり実質7台まで。
電源タップの「8口」も、ACアダプタを挿すと実質6口でした。数え方が同じ形をしています。
基準3 置き場所で決まる、重さと筐体
意外に効いてくるのが、本体の重さです。
LANケーブルは思ったより硬く、曲げると戻ろうとします。本体が軽いと、その力で引っ張られます。
プラ筐体で本体重量がかなり軽量のため、棚に置いているとLANケーブルに引っ張られて、本体位置が時間とともにズレます。
今回の3つは、本体の質量が約90gから約290gまで開きがありました。3倍の差です。
ただし、軽さは欠点だけではありません。同じ製品の良い評価には、こうありました。
ものすごいコンパクトな作りで、あまりスペースの余裕のないテレビ裏に仕込むのに助かりました。
同じ「90g」が、置き方によって利点にも欠点にもなっています。棚に平置きするのか、壁やテレビ裏に固定するのかを、買う前に決めておくと迷いません。
「16Gbps」は、見なくていい数字
仕様表に「スイッチングファブリック 16Gbps」という数字が出てきます。大きく見えますが、選ぶときには使いません。
これは8ポート × 1Gbps × 2(送受信の同時)= 16 という理論値です。1台あたりが16Gbpsになるわけではありません。
面白いのは、同じ仕様表に別の数字も載っていることです。
| メーカー | スイッチング 容量 |
最大実効 伝送速度 |
|---|---|---|
| バッファロー | 16Gbps | 8.0Gbps |
| エレコム | 16.0Gbps | 8.0Gbps |
「最大実効伝送速度」は、省エネ法で定められた方法で測った数字です。16は往復を足したもの、8は片道8ポートぶん。
どちらもメーカーが正直に書いている数字です。ただ、売り文句に使われるのは大きいほうでした。
家庭で1台あたりに出る速さは、どちらの数字でもなく1Gbpsです。
比較表
3つとも8ポート・ギガビット・アンマネージ・ファンレスでそろえています。ポート数や種類の違いではなく、同じ条件での差を見ています。
| 項目 | TP-Link TL-SG608 |
バッファロー LSW-8GSE/NBK |
エレコム EHC-LG08P-B |
|---|---|---|---|
| ポート数 | 8(実質7台) | 8(実質7台) | 8(実質7台) |
| 適合ケーブル (1000BASE-T) |
公式仕様表に 記載なし |
カテゴリー5e以上 4対 |
カテゴリー5e以上 |
| 質量(本体) | 公式に記載なし | 約290g | 約90g |
| 筐体 | 金属 | 金属 | プラスチック |
| 外形寸法 | 158×101×25mm | 150×80×26mm | 138×61.5×23mm |
| スイッチング容量 | 記載なし | 16Gbps | 16.0Gbps |
| 最大実効伝送速度 | 記載なし | 8.0Gbps | 8.0Gbps |
| MACアドレス登録数 | 4,096件 | 約8,000件 | 8,192件 |
| ループ検知 | 記載なし | あり | 非対応(明記) |
| ジャンボフレーム | 16KB | 記載なし | 対応(15KB) |
| 省電力の呼び方 | Green Technology | IEEE802.3az +おまかせ節電 |
らくらく節電 |
| 最大消費電力 | 2.77W | 3.2W | 3.2W |
| 電源 | ACアダプタ | ACアダプタ | 専用ACアダプタ |
| 壁掛け | 可 | 可(ネジ別売) | 可 |
| 保証 | 条件つき生涯保証 | 1年 | 1年 |
| 価格の目安 | 3,190円 | 2,880円 | 2,580円 |
| Amazon評価 | ★4.3(472件) | ★4.5(297件) | ★4.4(191件) |
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※価格・仕様は変更されることがあります。購入前に販売ページの最新の表示をご確認ください。
数字が並ばないところが2つあります。ループ検知と保証です。ここがいちばん分かれました。
「生涯保証」にも条件がある
保証は、3つでいちばん差がついたところでした。TP-Linkだけが条件つき生涯保証で、他の2社は1年です。
ただし、TP-Linkの公式の保証規定には、条件が書かれています。
- SOHOスイッチングハブの一部の製品だけが対象(TL-SG608は入っています)
- 中古販売品、オークション販売品は対象外
- 廃盤になった場合は、同等の機能の代替機と交換
- 外部電源アダプターの保証は、本体と同じ期間
- 「最初の小売に対し販売日より」=買った本人が対象
正規の新品で買うこと。これが「生涯」の条件です。
商品ごとの解説
TP-Link(ティーピーリンク) TL-SG608 保証がいちばん長い1台
3,190円で、今回いちばん高い製品です。金属筐体でファンレス。最大消費電力は2.77Wと、3つの中でいちばん小さい数字でした。
Amazon限定モデルで、型番はTL-SG108ではなくTL-SG608です。検索結果では名前が途中で切れることがあるので、商品ページで確かめてください。
価格が比較的安いので少し不安でしたが、実際に使ってみると問題なくLANを分岐でき、普通にギガビット対応のスイッチングハブとして使えています。
挿すだけで使えるので特別な設定は不要で、金属筐体で見た目もしっかりしています。
低い評価では、取扱説明書に日本語の記載がないという声がありました。設定が要らない製品なので実害は小さそうですが、気になる人はいると思います。
問題無く稼働しているが、熱を持ちすぎなのが心配。
最大2.77Wでも、金属筐体は熱を外に逃がします。触って温かいのは、熱が外に出ている状態でもあります。ただし囲って置くと逃げ場がなくなります。
向いている人:長く使いたい人。保証を重く見る人。消費電力を抑えたい人。
向いていない人:日本語の説明書が欲しい人。棚の奥など、熱がこもる場所に置く人。
バッファロー LSW-8GSE/NBK ループ検知が付く1台
2,880円。金属筐体で、本体は約290gと今回いちばん重い製品です。重さは、置いたときの安定につながります。
準拠規格にIEEE802.3az(EEE)と書いているのは、3社でここだけでした。省電力の規格名をはっきり出しています。
そしてループ検出機能があります。ハブを2台つないで輪にしてしまうと通信が止まりますが、それをLEDで知らせる仕組みです。
コンパクトで、金属の筐体でしっかりしています。
少し高級感があって見た目も良いです。
低い評価には、そのループ検知に関する声がありました。
ループ検知の誤作動か、通信には問題ないが接続しているすべてのポートが常に点滅状態になる。
通信自体は問題ないとのことですが、機能が付いているぶん、光り方で迷うことがあるという話です。テレビの裏など、光が目に入る場所に置くときは覚えておくとよさそうです。
机や床に置く時に貼る、ゴム足が1つしか入っていなかった。本来は4つ。
ギガ対応とあるがPS5では作動しなかった。
ゴム足は付属品の欠品で、個体差だと思います。届いたら数を確かめてください。
PS5の件は、基準1の話と重なります。PS5側のLANポートは1000Mbps対応なので、ケーブルか、本体側の設定か、個体の不良か。切り分けは下の「対処」に書きます。
向いている人:棚や床に平置きする人。ハブを2台以上つなぐ予定がある人。日本メーカーの窓口が欲しい人。
向いていない人:光るものを近くに置きたくない人。できるだけ小さくしたい人。
エレコム EHC-LG08P-B いちばん小さくて軽い1台
2,580円で、今回いちばん安い製品です。本体は約90g、幅138mm。3つの中で明確に小さく、軽い。
筐体はプラスチックで、冷却ファンはありません。メイン基板に電解コンデンサーを使わない作りだと公表されています。
ものすごいコンパクトな作りで、あまりスペースの余裕のないテレビ裏に仕込むのに助かりました。
通信時は点滅するのでどこが通信してるのか視覚的にわかります。
低い評価は、その軽さと小ささの裏返しに集まりました。
プラ筐体で本体重量がかなり軽量のため、棚に置いているとLANケーブルに引っ張られて、本体位置が時間とともにズレます。
電源ケーブルが長くはない
ランプ位置が少し分かりにくいが仕方ない
書いた人自身が、壁掛け穴を使えば解決すると続けています。本体の底に穴があるので、固定してしまえば引っ張られません。
なお、仕様表には「ループ検知・防止機能 非対応」と明記されています。ハブを増やしていく予定があるなら、ここは見ておく項目です。
向いている人:テレビ裏や隙間に入れたい人。壁に固定して使う人。安く済ませたい人。
向いていない人:棚に平置きして、ケーブルを何本も挿す人。ハブを2台以上つなぐ予定がある人。
口コミで多かった不満と、その対処
1. ギガ対応なのに100Mbpsしか出ない
今回いちばん重い不満です。順番に切り分けられます。
- ケーブルの印字を見る:「CAT5e」「CAT6」とあればギガ対応。「CAT5」だけなら100Mbpsで止まります。ハブとルーターの間、ハブと機器の間、両方とも見てください
- 細いケーブルは、芯の数を疑う:フラットタイプや極細タイプには、4本しか入っていないものがあります
- 1本ずつ挿し替えて試す:特定のポートだけ遅いなら、そのポートかケーブルの問題です
- つないだ機器の側を見る:古いテレビやレコーダーは、そもそも100Mbpsまでのものがあります
- パソコンで速度を確かめる:Windowsならネットワークの状態に「1.0 Gbps」と出ます
2. 熱を持つ
3つとも最大2.77〜3.2Wで、発熱そのものは小さい部類です。それでもファンがないので、逃げ場がないと熱がこもります。
- 囲わない:本や箱で三方をふさぐと、金属筐体でも逃げ場がなくなります
- 重ねない:ルーターの上に直接置くと、ルーターの熱をもらいます
- 壁掛けにする:3つとも壁掛けの穴があります。空気が回るぶん有利です
- 触って熱いのは、異常とは限らない:ただし動作温度は0〜40℃なので、夏場の締め切った部屋は気をつけてください
3. 置いた場所からズレる
本体が軽いほど起きやすくなります。
- 付属のゴム足を貼る:届いたら数を確かめてください。1つしか入っていなかったという声がありました
- 壁掛け穴を使う:いちばん確実です。固定してしまえば引っ張られません
- ケーブルを一度たわませる:本体のすぐ手前で軽くループを作ると、戻ろうとする力が逃げます
- 柔らかいケーブルを選ぶ:単線より撚線のほうが取り回しが楽です
4. LEDが光る・点滅する
通信しているポートが分かる利点でもあり、寝室やテレビ裏ではまぶしさになります。
- 置く向きを変える:LEDが壁を向くように置くだけで、だいぶ違います
- 全ポートが常に点滅するときは、配線を見直す:ハブ同士が輪になっていないか確かめてください
- 消灯機能は、今回の3つにはありません:必要なら、その機能を持つ製品を探すことになります
状況別のおすすめ
テレビ裏や隙間に入れたい
エレコム EHC-LG08P-B。約90g・幅138mmで、3つの中で明確に小さいです。壁掛け穴を使って固定すると、軽さの弱点も消えます。
棚や床に平置きして、ケーブルを何本も挿す
バッファロー LSW-8GSE/NBK。約290gの重さと金属筐体が、そのまま安定になります。
ハブを2台以上つなぐ予定がある
バッファロー。ループ検出機能があるのは3つでここだけです。エレコムは仕様表に「非対応」と明記されています。
長く使いたい・保証を重く見る
TP-Link TL-SG608。条件つき生涯保証は3つでここだけです。ただし正規の新品で買うことが条件になります。
とにかく安く済ませたい
エレコム(2,580円)。3つとも同じ8ポート・ギガビットなので、基本の働きは変わりません。
つなぎたい機器が7台を超える
今回の3つでは足りません。16ポートの製品を探すか、ハブを2台にしてループ検知のあるものを選んでください。
防犯カメラに給電したい
3つとも非対応です。PoE対応と書かれた製品を探してください。
買ったあと、最初にやること
- ケーブルの印字を全部見る:「CAT5e」以上かどうか。ここが出発点です
- ルーターにつなぐポートを決める:どれでもかまいませんが、1つ埋まることを先に数えておきます
- 1台ずつ挿して、LEDを見る:挿した順に光れば配線は合っています
- パソコンで速度を確かめる:「1.0 Gbps」と出れば、ケーブルも機器もギガで通っています
- ゴム足の数を確かめる:足りなければ販売店に連絡できます
- 置き場所の空気の通りを見る:三方を囲わない。ルーターの上に直接置かない
- ハブを2台使うなら、輪にしない:ルーター→ハブ1、ハブ1→ハブ2の順につなぎます
結論:ハブより先に、ケーブルを見る
スイッチングハブでいちばん誤解しやすいのは、「ギガビット対応」という表示だと思います。
この表示が指しているのは、ハブ側の能力です。実際に1000Mbpsが出るかどうかは、つなぐケーブルで決まります。
条件はカテゴリー5e以上、芯が4対。カテゴリー5(無印)のままでは100Mbpsで止まります。
そして「8ポート」のうち1つはルーターにつながるので、機器を挿せるのは7台まで。「つなぎたい数+1」で数えてください。
3つの基本の働きは同じでした。差が出たのは、重さと、ループ検知と、保証です。
迷うなら、バッファロー LSW-8GSE/NBKから見てみてください。約290gの重さが置いたときの安定になり、ループ検出機能が付いているのは3つでここだけだからです。
棚や床に平置きして、ケーブルを何本も挿す使い方なら、外しにくい1本だと思います。
テレビ裏の隙間に入れたいならエレコム EHC-LG08P-B、保証を重く見るなら TP-Link TL-SG608 です。
条件は上の「状況別のおすすめ」に書きました。
大きく書いてある数字に条件が付くのは、ハブに限りません。外付けSSDの「2000MB/s」も、パソコン側の端子がGen2x2でなければ半分しか出ませんでした。
本体を買ってもケーブル次第という点では、USB充電器の「65W」も同じでした。ケーブルが3Aまでだと60Wで止まります。
※記載の価格・仕様は記事作成時点のもので、変更されることがあります。購入前に販売ページの最新の表示をご確認ください。


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