パンを焼くとき、お菓子を作るとき。イーストやベーキングパウダーを数グラム単位で測りたい。そこで「キッチンスケール 0.1g」で検索した人が、この記事を開いていると思います。
商品ページには「0.1g単位・最大3kg」と並んでいます。今回選んだ3本も、この表示はまったく同じでした。ところが値段は、749円から4,378円まで。約6倍の開きがあります。
同じ表示なのに、何が違うのか。調べていて、そもそもこの表示の読み方が違っていたことが分かりました。
「0.1g単位・最大3kg」は、3kgのものを0.1g刻みで測れるという意味ではありません。
タニタの仕様には、こう書かれています。
微量モード時:300gまでが0.1g単位、1500gまでが0.5g単位
0.1gで測れるのは、300gまで。それを超えると刻みが粗くなります。センサーの仕組み上そうなるもので、どのメーカーでも起こります。
先に:この記事が向いていない人
- 郵便物や宅配の荷物を量りたい人:3kgまでだと足りないことがあります。宅配用の20kgクラスのはかりを探してください
- お店で取引や証明に使う人:商売で使うはかりは、検定を受けたものでなければいけません
- 0.01g単位で測りたい人:精密天びんという別のジャンルになります
- すでに1g単位のはかりで足りている人:買い替える必要はありません。0.1g単位が効くのは、数グラムを測るときだけです
- 体重や食材を大まかに量りたいだけの人:1g単位のもので十分ですし、そのほうが安く、大きく作られています
選ぶときに見る3つの基準
基準1 0.1gで測れるのは、何gまでか
冒頭に書いたとおりです。「0.1g単位」は、軽い範囲での話です。
| 重さの範囲 | 表示の刻み(タニタ KJ-304の場合) |
|---|---|
| 300gまで | 0.1g単位 |
| 1500gまで | 0.5g単位 |
| それ以上 | さらに粗くなる |
イーストを3g測るなら、これで足ります。ボウルごと載せて300gを超えると、そこから先は0.1gでは表示されません。
そして、この段階をはっきり書いているのは、3本のうちタニタだけでした。
あとの2本は「0.5g〜3kg」「0.1g単位」としか書かれていません。書いていない=段階がない、ということではないと思います。
仕組み上、どの製品でも重くなれば刻みは粗くなります。開示しているかどうかの差です。
安いものが悪いという話ではなく、仕様をどこまで書いているかで、選ぶときの見通しが変わるということです。
基準2 「最小計量」を見る。0.1g単位でも0.1gは測れない
もうひとつ、見落としやすいところです。
| 製品 | 測り始められる重さ |
|---|---|
| タニタ KJ-304 | 0.1g(微量モード) |
| Latuna | 0.5gから |
| Imtykee | 0.5gから |
0.5g未満のものは、載せても反応しないか、数字が安定しません。
「0.1g単位」という表示を見ると、0.1gのものが測れそうに思えます。けれど表示の刻みと、測り始められる重さは別です。
粉末の調味料をひとつまみ、といった使い方をするなら、ここを確かめてください。
基準3 本体の大きさと、表示が見えるか
これは口コミから出てきた基準です。
スケール自体が結構小さく、大きめのボウルを乗せて重さを計る時にディスプレイが見えません。
本体が小さいと、ボウルを載せたときに数字が隠れます。当たり前のようですが、買う前には気づきにくいところです。
3本の大きさを比べると、こうなります。
| 製品 | 本体サイズ |
|---|---|
| タニタ KJ-304 | 150×210mm |
| Latuna | 127×106mm |
| Imtykee | 小さめ(口コミより) |
タニタが際立って大きいのが分かります。そして、タニタにはHOLDモードという機能があります。
表示が隠れても、そのときの数値を保持してくれる仕組みです。大きなものを載せると数字が見えなくなるという問題への、メーカー側の答えだと思います。
普段どんなボウルを使うか。それを思い浮かべてから選ぶと、失敗しにくくなります。
比較表
| 項目 | タニタ KJ-304 |
キングジム Latuna |
Imtykee (Amazon限定) |
|---|---|---|---|
| 最大計量 | 3000g | 3kg | 3.0kg |
| 0.1g単位で測れる範囲 | 300gまで(明記あり) | 記載なし | 記載なし |
| 最小計量 | 0.1g(微量モード) | 0.5g | 0.5g |
| 計量法適合 | - | 丸正マーク付き | - |
| 電源 | 単4形×2 | 単4形×2 | - |
| 本体サイズ | 150×210×35mm | 127×106×18mm | - |
| 主な機能 | HOLDモード/g・ml切替/すぐゼロ・すぐピタ/オートオフ約6分 | 風袋引き/透明カバー付属 | 風袋引き/カバー付属 |
| 価格の目安 | 4,378円 | 1,599円 | 749円 |
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※価格・仕様は変更されることがあります。購入前に販売ページの最新の表示をご確認ください。
最大計量も、0.1g単位という表示も、3本とも同じです。差が出ているのは、仕様をどこまで書いているか、本体の大きさ、そして機能です。
商品ごとの解説
タニタ KJ-304 応答の速さと、大きさ
国内メーカーの製品で、3本でいちばん高く、いちばん大きい。そして仕様をいちばん細かく書いています。
評価で目立ったのは、測り始めと追従の速さでした。
すぐゼロ機能で電源ON後にすぐ計測可能になります。すぐピタ機能で物の追加への追従が早いので、コーヒー紅茶緑茶を入れるときの湯量を正確に計測可能です(すぐピタがない機種だと遅れるので入れすぎてしまう)
コーヒーのドリップのように、注ぎながら測る使い方では、この差がはっきり出るようです。数字が遅れて動くと、注ぎすぎてしまう。ここが価格差の中身のひとつだと思います。
0.1gまで計れるので、とても便利です。
これまでタニタの1キロまでしか計れないものを使っていて不便に感じていたので、壊れていなかったけど思い切って買い替えました。3キロまで計れるって幸せ
一方、低い評価もありました。
パン作りの計量用に購入しましたが数値が微妙に変わるので正確に計量できません。
上皿が乗せる素材を選びます。ガラス製品などはとにかく滑るので対策をするか注意してください
数値が変わる、という不満は後でまとめて扱います。これは3本のうち2本で出ていて、価格では解決していない問題でした。
なお、製造国についての指摘もありました。
自社製となっているけど中国製で、輸入元がタニタとなっている。日本製じゃ無いの。
家電や計測器では、設計と品質管理を国内メーカーが行い、製造は海外という形が一般的です。
表示の受け取り方は人によると思いますので、気になる方は購入前に商品ページの記載を確かめてください。
向いている人:コーヒーを淹れながら測る人。大きなボウルを載せる人。仕様をきちんと確かめてから買いたい人。
向いていない人:置き場所が狭い人(150×210mmあります)。予算を抑えたい人。
Latuna(キングジム) 丸正マークと、薄さ
1,599円で、計量法適合の丸正マークが付いています。家庭の調理では法的に必要なものではありませんが、精度の目安にはなります。厚さ18mmと薄く、しまいやすい形です。
少量計量への評価が、はっきり出ていました。
パンやお菓子作り用に購入しました。0.1g単位で細かく計量できるので、イーストやスパイスなど少量の材料も正確に測れるのがとても便利です。
風袋引き機能もワンタッチで使え、ボウルや容器を載せたまま材料だけを計量できるのが助かります。
コンパクトながら3kgまで対応しているので、料理だけでなくコーヒーのドリップや郵便物の計量、小物の重さを測る用途にも活躍しています。
タニタでは「パン作りで数値が変わる」という声が出ていたのに、こちらでは「イーストも正確に測れる」という評価です。
同じ用途で正反対の感想が出るのは、後述する設置環境の影響が大きいのだと思います。
低い評価は、耐久性と表示についてでした。
購入から2ヶ月も経っていないのに電源がつかなくなりました。
クラムが表示されてから点灯の持続時間が短い。
測り直す度に 表示される数値が違う。
2つめは、バックライトが消えるまでが短いという指摘だと思います。手が濡れているときに点け直すのは、地味に面倒なところです。
向いている人:イーストやスパイスなど、少量を測ることが多い人。しまう場所が薄い引き出しの人。丸正マークを目安にしたい人。
向いていない人:大きなボウルを載せる人(127×106mmです)。表示を長く点けておきたい人。
Imtykee(Amazon限定) 749円。レビュー1.1万件
3本でいちばん安く、レビューは1.1万件と圧倒的です。この価格で0.1g単位、カバー付き。
安価なので心配でしたが、液晶も見やすくコンパクトでスタイリッシュでした。犬のご飯用で0.1グラム単位で測れるので助かります。
小さくて5kgまで図れる 便利
カバーが付いているのもよい。
ペットの餌の計量という使い方は、なるほどと思いました。毎日決まった量を測るなら、精度より手軽さのほうが効いてきます。
低い評価は、大きさと分かりにくさに集まっていました。
スケール自体が結構小さく、大きめのボウルを乗せて重さを計る時にディスプレイが見えません。
表示のパターンの種類があるので、ちょっと間違えやすいかも
今いち説明が解りにくく、上手く使用しづらい
基準3で引いたのが1つめです。小さいことは、しまいやすさと引き換えに、見えにくさになります。
「表示のパターン」は、g・oz・mlといった単位の切り替えのことだと思います。
安い製品ほど機能を詰め込む傾向があり、ボタンが少ないぶん、長押しや複数回押しで切り替えることになります。説明書が薄いと、そこでつまずきます。
向いている人:ペットの餌や、決まった量を毎日測る人。とにかく安く済ませたい人。小さくしまいたい人。
向いていない人:大きなボウルを使う人。説明書を読むのが苦手な人。
口コミで多かった不満と、その対処
1. 測るたびに数値が変わる(タニタ・Latuna)
いちばん重い不満で、しかも4,378円のタニタと1,599円のLatunaの両方で出ていました。
パン作りの計量用に購入しましたが数値が微妙に変わるので正確に計量できません。(タニタ)
測り直す度に 表示される数値が違う。(Latuna)
値段では解決していません。原因は、はかりそのものより置き方と環境にあることが多いところです。
- 水平で、硬い場所に置く。テーブルクロスやマットの上、シンクの縁は避けてください。やわらかい面に置くと、載せるたびに沈み方が変わります
- エアコンや換気扇の風を避ける。0.1gは、風で動く重さです
- 手を触れない。本体や台に手をついたまま読むと、その力が乗ります
- 電源を入れてから少し待つ。すぐに載せると、まだ安定していないことがあります
- 電池を替えてみる。電圧が下がると数値がふらつく製品があります
それでも0.1g刻みは、家庭の環境ではふらつくものだと考えておくほうが、期待とずれません。
0.1g単位が要るのは数グラムを測るときで、そのときは載せる物も軽いので、影響は小さくなります。
2. 大きいボウルを載せると表示が見えない
スケール自体が結構小さく、大きめのボウルを乗せて重さを計る時にディスプレイが見えません。(Imtykee)
買う前にできることと、買った後にできることがあります。
- 買う前:普段使うボウルの直径を測って、本体サイズと比べてください
- 買う前:HOLDモードのある製品を選ぶと、隠れても数値が残ります(今回はタニタのみ)
- 買った後:はかりを台の端に寄せて、表示だけ手前にはみ出させる
- 買った後:ボウルではなく、紙コップや小皿で材料を測ってから移す
3. 上皿が滑る
上皿が乗せる素材を選びます。ガラス製品などはとにかく滑るので対策をするか注意してください(タニタ)
金属やガラスの上皿に、ガラスや陶器のボウルを載せると滑ります。
- 薄いシリコンマットを敷く。100円ショップの鍋敷きでも足ります
- ただし厚いものを敷くと、今度は沈んで数値が安定しなくなります。薄いものを選んでください
4. 2ヶ月で電源が入らなくなった
購入から2ヶ月も経っていないのに電源がつかなくなりました。(Latuna)
まず電池を疑ってください。付属の電池は動作確認用のことがあり、早く切れることがあります。
新しい電池でも点かないなら、初期不良の可能性があります。購入から日が浅いうちに販売元へ連絡するほうが早く済みます。注文履歴は残しておいてください。
状況別のおすすめ
コーヒーを淹れながら、注ぐ量を測りたい
タニタ KJ-304。「すぐピタ機能で追従が早い」という声がありました。数字が遅れると注ぎすぎるので、ここは効きます。
イーストやスパイスなど、数グラムを測ることが多い
Latuna。「イーストやスパイスなど少量の材料も正確に測れる」という評価と、丸正マークがあります。
大きなボウルを載せる
タニタ(150×210mm、HOLDモードあり)。3本でいちばん大きく、表示が隠れても数値が残ります。
薄い引き出しにしまいたい
Latuna(厚さ18mm)。3本でいちばん薄い製品です。
ペットの餌など、毎日決まった量を測る
Imtykee。749円で足ります。精度より手軽さが効く用途です。
とにかく安く済ませたい
Imtykee。レビュー1.1万件という数の裏づけもあります。
買ったあと、最初にやること
- 水平で硬い場所を決める:テーブルクロスやマットの上は避けます。ここで精度がだいぶ変わります
- 普段使うボウルを載せて、表示が見えるか確かめる:見えないなら、置き場所か測り方を変えます
- 10円玉を載せてみる:1枚4.5gと決まっています。近い数字が出れば、ひとまず安心です
- 同じものを3回測ってみる:数値がばらつくなら、置き場所を変えて試します
- 風袋引き(ゼロ表示)の押し方を覚える:ボウルを載せてからボタンを押すと、材料だけが測れます
- オートオフまでの時間を確かめる:途中で消えると測り直しになります
- 付属の電池は予備を用意しておく:動作確認用のことがあります
結論:何を測るのかを先に決める
キッチンスケールでいちばん誤解しやすいのは、「0.1g単位・最大3kg」という表示だと思います。
0.1gで測れるのは300g程度まで。3kgのものを0.1g刻みで測れるわけではありません。そして0.1g単位でも、0.5g未満は測れない製品が多くあります。
もうひとつ、今回はっきりしたのは、「数値がふらつく」という不満が、高いものでも安いものでも同じように出ていたことです。
0.1gという単位は、置き場所や風や手の触れ方で動いてしまう、きわどい重さなのだと思います。
水平で硬い場所に置く。これだけで、だいぶ違うはずです。
値段の差は、精度そのものより、応答の速さ・本体の大きさ・仕様の書きぶりに出ていました。何を測るのかを先に決めれば、選びやすくなると思います。
用途がまだ決まっていないなら、タニタ KJ-304から見てみてください。
数字の追従が速く、上皿が150×210mmと大きめです。大きなボウルで表示が隠れても、HOLDモードで数値が残ります。
イーストやスパイスなど数グラムを測ることが多いなら Latuna、毎日決まった量を測るだけなら749円の Imtykee で足ります。
条件は上の「状況別のおすすめ」に書きました。
同じキッチンでは、耐熱ガラス保存容器でも似たことが起きていました。「520ml」は満水容量で、実際に入るのは360mlです。
同じキッチンでは、電気ケトルの「カップ1杯60秒」も140mLのときの数字でした。満水なら約5分かかります。
台所の数字には、測った場所が書かれていないものもあります。フライパンの「26cm」は上のフチの内側で、底の直径はどのメーカーも出していませんでした。
※記載の価格・仕様は記事作成時点のもので、変更されることがあります。購入前に販売ページの最新の表示をご確認ください。


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