外出先で充電が切れるのが心配で、モバイルバッテリーを買おうと思います。
売り場で目に付くのは「10000mAh」という数字です。スマホの電池が3000mAhくらいだから、3回は充電できそうだ、と考えます。
ところがメーカーの説明を読むと、こう書いてあります。「スマートフォンを約2回充電」。
「10000mAh」は、中の電池の容量でした。USBから出てくる量とは別の数字です。
今回は10000mAhのモバイルバッテリーを3本、メーカーの仕様で調べました。
そして調べている途中で、飛行機のルールが今年変わっていたことも分かりました。
この記事が向いていない人
先に3つ挙げます。当てはまる方は、別の記事のほうが早いと思います。
ノートPCを充電したい方。10000mAhでは容量も出力も足りません。20000mAh級になります。
飛行機に3個以上持ち込みたい方。2026年4月24日から2個までになりました。
ワイヤレス充電が要る方。MagSafe対応などは、また別の見方になります。
選ぶときに見る3つの基準
基準1 何回充電できるかを見る
「10000mAh」が何の数字なのか、メーカーが換算式を公開していました。
Wh = V (電圧) × mAh (バッテリー容量) ÷ 1000
10000mAh × 3.7V ÷ 1000 = 37Wh
中のリチウムイオン電池は3.7V。10000mAhは、その電圧のもとでの容量です。
ところがUSBから出てくるのは5Vです。同じ37Whを5Vで出すと、こうなります。
37Wh ÷ 5V = 7,400mAh相当。ここで約26%減ります。
さらに電圧を変える回路と発熱でロスが出るので、実際に機器へ入るのは6,000〜7,000mAh程度と言われています。
メーカーの書き方が、それを裏づけています。10000mAhの製品で「スマートフォンを約2回充電」。
実際に使った方の声も、同じでした。
エレコムらしく安心感のある作りで、スマホ2回分はしっかり充電できた。
「10000mAh」ではなく、「何回充電できるか」の表記を見るほうが確かです。
基準2 重さと大きさを見る
同じ10000mAhでも、持ち歩きやすさはずいぶん違いました。
| 商品 | 重さ | 大きさ |
|---|---|---|
| UGREEN | 177g | 11.2×7.1×1.5cm |
| CIO | 180g | 9.8×6.9×1.6cm |
| エレコム | 233g | 14.1×7.3×1.5cm |
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177gと233gで、56gの差。1.3倍です。長さも9.8cmと14.1cmで4cm以上違います。
口コミを読むと、ここがいちばん反応の分かれたところでした。
10000mAhの物はいくつか試してきましたがダントツで軽いです。(UGREEN)
ある程度重さはある。ガッツリ使わないならもう少し軽いものを選んだ方が良いかな(エレコム)
毎日カバンに入れるものなので、56gの差は数字以上に効いてくるようです。
スマートフォンが1台で170〜200gほどですから、もう1台ぶんを持ち歩くと考えると分かりやすいと思います。
基準3 本体を充電する時間を見る
出力(W)の話ばかり目に付きますが、入れる側の時間も大きく違いました。
| 商品 | 本体の充電時間 |
|---|---|
| CIO | 約90分 |
| エレコム | 4.5時間 |
| UGREEN | 記載なし |
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90分と4.5時間で、ちょうど3倍です。
ただし、CIOの約90分には条件が付いています。「急速充電器を用いる事で」。
そして出力のほうにも条件がありました。
【単ポート最大35W出力】USB-C単ポート最大35W出力に対応
単ポートのときです。ここは充電器と同じ読み方になります。
手持ちの5W充電器につないだら、90分にはなりません。充電器も一緒に見ておくのが確実です。
飛行機に持って行くなら、今年からルールが変わりました
2026年4月24日から、機内のルールが変わっています。まだ知らない方も多いところだと思います。
国土交通省の発表に、こうあります。
機内持込みのモバイルバッテリーは2個(160Wh以下に限る)まで
機内においてモバイルバッテリーへの充電をしないこと
機内においてモバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしないこと
新しいのは「2個まで」と「機内では使わない」の2つです。
背景は、国際民間航空機関(ICAO)が国際基準を緊急改訂したこと、と説明されています。
従来からのルールも、あわせて押さえておきます。
預け入れ手荷物に入れるのは禁止。機内に持ち込むことになります。
座席の上の収納棚に入れるのも禁止です。手元に置くことになります。
容量のほうは心配ありません。10000mAhは37Whなので、100Wh以下です。
引っかかるとすれば個数のほうで、予備を何個も持ち歩く方は2個までになります。
型番を控えておく。リコールは実際に出ています
消費者庁のリコール情報サイトに、モバイルバッテリーが載っています。
事業者名:アンカー・ジャパン
製品名:Anker Power Bank(10000mAh、22.5W)ほか
理由:当該製品及び周辺を焼損する火災が発生
対応開始日:2025年06月26日
メーカーが自主回収の窓口を公開して対応している例です。
これは特定の会社の問題ではなく、どのメーカーでも起こりうることだと思います。
リチウムイオン電池を持ち歩く以上、買ったあとに確かめられる状態にしておくのが現実的です。
やること:本体の裏の型番とシリアルナンバーを、写真に1枚撮っておく。
消費者庁のリコール情報サイトで、型番から検索できます。
3本の比較表
| 項目 | CIO SMARTCOBY Pro SLIM |
エレコム EC-C03BK |
UGREEN Zapix PB507 |
|---|---|---|---|
| 容量 | 10000mAh | 10000mAh | 10000mAh |
| 重さ | 180g | 233g | 177g |
| 大きさ | 9.8×6.9 ×1.6cm |
14.1×7.3 ×1.5cm |
11.2×7.1 ×1.5cm |
| ポート | C×2+A×1 | C×1+A×1 | C×1+A×1 |
| 最大出力 | 単ポート35W | 20W | 20W |
| 本体の 充電時間 |
約90分 | 4.5時間 | 記載なし |
| パススルー 充電 |
対応 | まとめて充電 | 記載なし |
| 小電流モード | 記載なし | あり (USB-Aのみ) |
あり |
| メーカー | 日本 | 日本 | 中国 |
| 価格 | 3,280円 | 2,690円 | 2,280円 |
| 評価 | ★4.2 (1,746件) |
★4.0 (3,038件) |
★4.4 (952件) |
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価格と評価は2026年9月19日時点のものです。
3本それぞれの話
CIO SMARTCOBY Pro SLIM 90分で満タンになる
本体の充電が約90分と、3本でいちばん速い1本です。他の2本は4.5時間か、記載がありません。
大きさも9.8×6.9cmといちばん小さく、厚さ16mmです。
口コミでは、その収まりを挙げる声がありました。
厚みが約16mmと平たいので、ポーチに入れてもバッテリーだけが膨らむ感じになりにくく、荷物の隙間に収めやすいです
パススルー充電に対応しているのも、3本でこれだけでした。本体を充電しながら機器に給電できます。
その代わり、出力が35Wと高いぶん熱も出るようです(次の節で触れます)。
向いている人:毎日持ち歩いて毎日充電する人。カバンの中でかさばらせたくない人。
向いていない人:予算を抑えたい人。発熱が気になる人。
エレコム EC-C03BK レビューが3,038件でいちばん多い
3本のうち、いちばん多くの人が使っている1本です。
口コミには、基準1の裏づけになる声がありました。
スマホ2回分はしっかり充電できた。サイズはやや厚みがあるが、カバンに入れておくには問題なし。
短いケーブルが付属するのも、持ち歩きでは助かります。
ただし233gと、3本でいちばん重くなっています。長さも14.1cmで、他の2本より3〜4cm長い1本です。
向いている人:使っている人の多さで選びたい人。カバンが大きめの人。
向いていない人:軽さを優先する人。本体をすぐ充電したい人(4.5時間かかります)。
UGREEN Zapix PB507 177gで2,280円
3本でいちばん軽く、いちばん安い1本です。
口コミは、軽さに集まっていました。
10000mAhの物はいくつか試してきましたがダントツで軽いです。
軽くて薄型なので、バッグに入れておいても負担に感じません。
厚さは約15mmで、3本でいちばん薄い数字です。
レビューは952件と3本でいちばん少なく、判断材料はその分少なくなります。
向いている人:軽さを最優先する人。予算を抑えたい人。
向いていない人:本体の充電時間を知ってから買いたい人(公開されていません)。
口コミで多かった不満と、その対処
1. 急速充電をすると、かなり熱くなる
充電する時の発熱がヤバい(CIO)
急速充電をするとかなり熱くなるので怖い。(UGREEN)
どちらも「充電するとき」「急速充電をすると」という条件つきです。
電圧を変える回路が働くほど、熱に変わる分が増えるからだと思われます。
基準1で書いた「6〜7割しか取り出せない」の、減った分の一部がこの熱です。
対処:充電中は、カバンやポケットの中に入れたままにしない。
布団の上や、ものに挟まれた状態も避けます。熱の逃げ場がなくなります。
2. 1か月半から1年で、ボタンが効かなくなった
買って1ヶ月半でボタンを押しても残量表示がされず充電も出来なくなりました。(UGREEN)
購入から約1年でボタンが機能しなくなってしまいました。ボタンが陥没してしまい、押しても反応しない状態です。(CIO)
2本とも、壊れたのはボタンでした。
モバイルバッテリーで毎日押す部品は、ここくらいです。動く部分が少ないぶん、負担が集まるのかもしれません。
1件ずつの声なので、これが平均だとは言えません。
対処:買った日とレシートを控えておく。保証の期間内かどうかで対応が変わります。
前の節で書いた型番の写真と一緒にしておくと、まとめて済みます。
3. 残量表示が当てにならない
バッテリーの残量のランプが、使ったあとは減っているのに、そのあと確認したら増えてたりするのがちょっとナゾ。(エレコム)
ケーブルを繋いでおくとインジケータランプが点灯したまま。消してもまた点く。(UGREEN)
残量は電圧から推定しているので、使った直後と少し置いたあとで表示が変わることがあります。
対処:出かける前に満充電にしておく。残量表示を信じて「まだ半分ある」と考えないほうが確実です。
4. 重さは、好みがはっきり分かれた
基準2で触れたところですが、評価が正反対に割れました。
UGREENの高い評価は、3件とも軽さについてでした。いっぽうエレコムの低い評価は、2件が重さについてです。
対処:いま持ち歩いているものと比べる。スマートフォンを手に持って、もう1台ぶんが増えると考えてみてください。
状況別のおすすめ
| こういう人に | この1本 |
|---|---|
| 毎日持ち歩いて 毎日充電する |
CIO (約90分) |
| カバンが小さい | CIO (9.8×6.9cm) |
| 軽さを最優先 | UGREEN (177g) |
| 予算を抑えたい | UGREEN (2,280円) |
| 使っている人の 多さで選ぶ |
エレコム (3,038件) |
| 飛行機に持って行く | 3本とも2個まで |
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買ったあと、最初にやること
3つあります。全部で5分ほどです。
1. 型番とシリアルナンバーを写真に撮る。本体の裏に書いてあります。
リコールが出たときに、対象かどうかをすぐ確かめられます。
2. 一度、満充電にしてみる。何時間かかるかを測っておきます。
本体の充電時間を公開していない製品もあるので、実際に測るのがいちばん確かです。
3. 充電中の置き場所を決める。カバンの中やベッドの上ではなく、風の通る平らなところに。
結論:「10000mAh」ではなく「何回充電できるか」で選ぶ
モバイルバッテリーでいちばん誤解しやすいのは、「10000mAh」という表示だと思います。
これは中の電池(3.7V)の容量で、37Whにあたります。USBが出す5Vに直すと7,400mAh相当です。
さらに回路と発熱でロスが出るので、メーカー自身が「スマートフォンを約2回」と書いています。
もうひとつ、同じ10000mAhでも重さが177gから233gまで、1.3倍の幅がありました。
口コミでいちばん評価が割れたのも、ここです。
そして本体を満充電にする時間は、90分と4.5時間で3倍ちがいました。
一言にすると、容量の数字ではなく、充電回数と重さで選ぶ。この2つで絞れます。
迷うなら、CIO SMARTCOBY Pro SLIMから見てみてください。
毎日持ち歩いて毎日充電するものなので、本体が90分で満タンになるのは効いてきます。他の2本は4.5時間か、記載がありません。
9.8×6.9cmと3本でいちばん小さく、パススルー充電にも対応しています。
軽さと値段を優先するならUGREEN、使っている人の多さで選ぶならエレコムで足ります。
条件は上の「状況別のおすすめ」に書きました。
最後にもう一度だけ。飛行機に持って行くなら2個まで、機内では使わない。2026年4月24日から変わったところです。
「単ポートのとき」という条件は、USB充電器でも同じでした。「65W」は1ポートだけを使ったときの数字で、3台つなぐと分かれます。
カタログの数字がそのまま出ない例では、外付けSSDもありました。「2000MB/s」は対応した環境でのみ出る数字です。
※記載の価格・仕様は記事作成時点のもので、変更されることがあります。購入前に販売ページの最新の表示をご確認ください。


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