部屋の収納が足りない。かといって家具を置くと床が埋まる。
そこで目に入るのが、壁ぎわの床から天井までの縦の空間です。
ここに棚が立てられたら、床を取らずに収納が増える——そう考えて「突っ張りラック」で検索した人が、この記事を開いていると思います。
商品ページを見ると「耐荷重80kg」「全体耐荷重300kg」といった数字が並んでいます。80kgあれば本でも何でも置けそうに見える。
値段は1万円前後で、どれも似たような見た目です。
ところが、この80kgという数字には続きがあります。8段のラックの「全体耐荷重80kg」は、1段あたり10kgという意味です。1段に80kg載せられるわけではありません。
A5判の単行本は1冊およそ400g。25冊で10kgに届きます。本棚のつもりで選ぶと、思っていたのと違うことになります。
先に:この記事が向いていない人
- 天井が勾配になっている、梁が出ている部屋に置きたい人:突っ張りラックは天井が水平であることが前提です。斜めの面を押すと滑ります
- 組み立てをしたくない人:今回の3本はどれも組み立て式です。早いもので30分、かかるもので2人がかり1時間という声がありました
- 1段に重いものをまとめて置きたい人:後で書きますが、スリムなラックの1段は10kg程度です
- 天井に跡をつけたくない人:突っ張る以上、天井のクロスに圧迫の跡が残ることがあります。賃貸で気になるなら、当て板を挟む前提で考えてください
- 完成品の本棚を探している人:壁に固定できるなら、そちらのほうが確実です
- 棚ではなく、棒を1本渡したいだけの人:クローゼットにハンガーを掛けるだけなら、突っ張り棒のほうが安く、組み立ても要りません。突っ張り棒の耐荷重は伸ばすと3分の1|強力タイプ3本を比較をご覧ください
選ぶときに見る3つの基準
基準1 まず天井の高さを測る
いちばん最初に確かめるのはここです。範囲から外れていると、そもそも設置できません。
| 商品 | 対応天井高 |
|---|---|
| 山善 STR-608L | 203〜282cm |
| アイリスオーヤマ メタルミニ MTO-5521TP | 219〜272cm |
| 8tail 幅78cm | 209〜282cm |
日本の住宅の天井高は240cm前後が標準です。ただし古い賃貸やマンションでは、220cmや210cm台の部屋もめずらしくありません。
上の表でいうと、天井が215cmの部屋にアイリスオーヤマのメタルミニは入りません。届いてから気づくことになります。
測るときは、実際に置く場所で測ってください。部屋の中央と壁ぎわで数センチ違うことがあります。カーペットや畳の上に置くなら、沈み込む分も見ておいたほうが安全です。
基準2 耐荷重は「棚板1枚あたり」を見る
冒頭に書いたことを、数字で並べます。
| 商品 | 棚板1枚 | 全体 | 段数 |
|---|---|---|---|
| 山善 STR-608L | 10kg | 80kg | 8段 |
| アイリスオーヤマ メタルミニ | 約75kg | 約300kg | 5段 |
| 8tail 幅78cm | 非公表 | 80kg | 7段 |
同じ「全体80kg」でも、1段あたりは10kg。8段あるから合計で80kgになる、という書き方です。
そしてアイリスオーヤマのメタルミニは、1枚あたり約75kg。7.5倍の開きがあります。
商品ページで大きく出ているのは、たいてい全体のほうです。自分が1段に何を載せるつもりかで、見る数字が変わります。
本や工具箱を置くなら1段あたりを、衣類や軽い雑貨を分散させるなら全体を見る、という具合です。
8tailのように1枚あたりが公表されていない商品もあります。その場合、全体を段数で割ったあたりが目安になりますが、あくまで推測です。
この「大きく書いてある数字には条件がある」という話は、突っ張り棒でも同じです。
あちらはいちばん縮めたときの数字が表示されていて、伸ばすと3分の1前後まで落ちます。
詳しくは突っ張り棒の耐荷重は伸ばすと3分の1|強力タイプ3本を比較に書きました。
基準3 奥行きと段数は、耐荷重と引き換え
ここが今回いちばん面白かったところです。
| 商品 | 奥行き | 棚板1枚 |
|---|---|---|
| 山善 STR-608L | 21cm | 10kg |
| 8tail 幅78cm | 24cm | 非公表 |
| アイリスオーヤマ メタルミニ | 35cm | 約75kg |
薄いほど、1段が弱くなります。奥行21cmのスリムラックが10kg、奥行35cmのメタルラックが75kg。
しかも値段は逆で、薄いほうが高い(12,800円と10,430円)。省スペースに作るほど手がかかる、ということだと思います。
「省スペース」と「たくさん載る」は、同時には手に入りません。置く場所の余裕と、載せるものの重さ。どちらを優先するかを先に決めると、選びやすくなります。
比較表
| 項目 | 山善 STR-608L |
アイリスオーヤマ メタルミニ MTO-5521TP |
8tail 突っ張りラック 幅78cm |
|---|---|---|---|
| 幅×奥行 | 65×21cm | 55×35cm | 78×24cm |
| 対応天井高 | 203〜282cm | 219〜272cm | 209〜282cm |
| 段数 | 8段 | 5段 | 7段 |
| 棚板1枚の耐荷重 | 10kg | 約75kg | 非公表 |
| 全体耐荷重 | 80kg | 約300kg | 80kg |
| 高さ調整 | 上下各25段階(約3.5cm間隔) | - | 55段階 |
| 材質 | スチール | スチール(クロームメッキ) ポール径19mm |
木目調 |
| 本体重量 | - | - | 約24kg |
| 価格の目安 | 12,800円 | 10,430円 | 10,780円 |
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※価格・仕様は変更されることがあります。購入前に販売ページの最新の表示をご確認ください。
3本の性格は、はっきり分かれました。山善はいちばん薄くて段数が多い。アイリスオーヤマはいちばん頑丈で組み立てが楽。8tailはいちばん幅が広い。
商品ごとの解説
山善 STR-608L 薄さと段数を取る
奥行21cmは3本でいちばん薄く、それでいて8段。壁ぎわの狭いすき間に立てる用途に向いています。レビューは1,178件と、3本のなかで群を抜いて多い製品です。
剛性への評価が目立ちました。
この金額にしては剛性が高く、全然ぐらつかない。
一段の支えられる重さも思ったよりもあります。
公称10kgに対して「思ったより」という感想が出てくるのは、実際に使った人の言葉として参考になります。
不満は、棚の付け替えと、作りの粗さに集まっていました。
棚の付け替えは六角レンチを4ヶ所外してつけてなので少しめんどくさい。
網目の部分が少し浮いていたり溶接が少し雑かと思いました。
そしてもうひとつ、買う前に知っておきたい指摘がありました。
品名のところのサイズを信じて買ったら外寸でした。
幅65cmは外寸です。実際に物を置ける内側の幅は、それより狭くなります。すき間にぴったり入れたい人は、ここを見落とさないでください。
向いている人:置ける幅が限られている人。段数を多くとって、軽いものを分散させたい人。買う前に多くの口コミを読んでおきたい人。
向いていない人:棚の高さを頻繁に変えたい人。1段にまとめて重いものを置きたい人。
アイリスオーヤマ メタルミニ MTO-5521TP 1段75kg。組み立ても楽
いわゆるメタルラックに、天井まで突っ張るポールが付いた構成です。棚板1枚あたり約75kgと、3本のなかでは別格の数字になっています。
組み立てと設置のしやすさが評価されていました。
設置もやりやすく使い勝手も良かったです。
組み立ても女性1人でも簡単でした。
どこも一長一短でアイリスオーヤマが値段をスペックのバランスが良いと感じた。
3本のなかでは組み立てがいちばん軽い、という声です。段数が5段と少ないぶん、部品も少なくなります。
一方、突っ張り部分への不満が集中していました。
ツッパリが弱い感じです。すぐに緩む。
肝心の突っ張り棒がネジ部分で折れていました。
天井用ポールの締めつけ部品が弱すぎる。締めていたらすぐにバカになってしまった。あまり強く締めないよう注意。
棚そのものは頑丈でも、天井を押す部分は別、ということのようです。対処は後でまとめます。
向いている人:1段に重いものを載せたい人。組み立てを短く済ませたい人。奥行35cmを置ける場所がある人。
向いていない人:天井が219cmより低い部屋の人(入りません)。薄さを求める人。
8tail 突っ張りラック 幅78cm 幅を取って収納量を稼ぐ
幅78cmは3本でいちばん広く、7段。奥行きは24cmに抑えられています。本を大量に片付けたい、という用途で選ばれているようです。
たくさん収納できるのに薄いので邪魔にならずとてもよいです
場所を取らずに大量の本が片付ける事ができるので、大変良かったです!
奥行きが25センチなのと、壁と同じく真っ白なせいか、圧迫感はありません。
薄さと白さで圧迫感が出にくい、という指摘は、部屋に置くものとして見逃せない利点だと思います。
ただし、組み立ては3本でいちばん重い作業になります。
組み立ては2人で約1時間ぐらいかかりました。
本体重量が約24kg。7段ぶんの部品を組むので、時間がかかるのは道理です。
そして、こちらも突っ張り部分と作りの粗さに不満が出ていました。
4箇所突っ張りのうちのひとつが壊れていました。
突っ張り棒の長さを調整する部分のナットの溶接が甘く、固定ネジを締め込んだら取れました。
プラスチック部分の接着剤がはみ出して固まっていたりと多少残念な部分がありました。
向いている人:幅78cmを置ける壁がある人。本をまとめて片付けたい人。ふたりで組み立てられる人。
向いていない人:ひとりで短時間に組み立てたい人。1段あたりの耐荷重を知ってから買いたい人(公表されていません)。
口コミで多かった不満と、その対処
3本の低い評価を並べると、はっきりした共通点が出ました。
1. 突っ張り部分の部品が壊れる(アイリス・8tail)
いちばん多く、いちばん深刻な声です。メーカーが違うのに、壊れ方まで似ています。
天井用ポールの締めつけ部品が弱すぎる。締めていたらすぐにバカになってしまった。(アイリスオーヤマ)
突っ張り棒がネジ部分で折れていました。(アイリスオーヤマ)
突っ張り棒の長さを調整する部分のナットの溶接が甘く、固定ネジを締め込んだら取れました。(8tail)
4箇所突っ張りのうちのひとつが壊れていました。(8tail)
共通しているのは「締めているときに壊れた」という点です。
突っ張りラックは、天井を強く押して自立させます。その力がネジやナットの一点に集まる構造なので、締めすぎると部品のほうが先に負けます。
対処はこうなります。
- 「もう回らない」ところまで締めない。手ごたえが重くなったら止める
- 4本のポールを、少しずつ順番に締める。1本を締めきってから次、ではなく、対角線に少しずつ
- 締める前に、部品の溶接部分を見る。溶接が甘いものは、締める前から分かることがあります
- 緩んできたら、力任せに締め直すのではなく、棚の位置や載せる量を見直す
2. 溶接や梱包が粗いことがある(3本とも)
網目の部分が少し浮いていたり溶接が少し雑かと思いました。(山善)
ナットの溶接が甘く(8tail)
梱包が雑になっていたり、プラスチック部分の接着剤がはみ出して固まっていたり(8tail)
肝心の突っ張り棒がネジ部分で折れていました。(アイリスオーヤマ)
1万円前後という価格帯の商品では、個体差があるようです。届いた時点で壊れていたという報告も複数ありました。
組み立てを始める前に、全部の部品を並べて確認してください。途中まで組んでから欠品や破損に気づくと、戻すのが大変です。破損があれば、その時点で販売元に連絡するほうが早く済みます。
3. 組み立ての負担に、はっきり差がある
| 商品 | 口コミにあった組み立て |
|---|---|
| アイリスオーヤマ メタルミニ(5段) | 女性1人でも簡単 |
| 山善 STR-608L(8段) | 1人でも可能、2人のほうがベター |
| 8tail(7段・約24kg) | 2人で約1時間 |
段数と本体重量に比例しています。ひとりで組む予定なら、段数の少ないものを選ぶか、時間に余裕のある日にしてください。
4. 表示のサイズが外寸
品名のところのサイズを信じて買ったら外寸でした。(山善)
商品名に出ている幅は、ラックの外側の寸法です。すき間にぴったり収めたい場合は、置き場所の幅より数センチ小さいものを選んでください。
また、実際に物を置ける内寸は、外寸よりさらに狭くなります。
状況別のおすすめ
天井が210〜218cmくらい
アイリスオーヤマのメタルミニは入りません(219cm〜)。山善(203cm〜)か8tail(209cm〜)から選んでください。
本をたくさん並べたい
1段10kgでは、A5判で25冊ほどが目安になります。
冊数を優先するなら8tail(幅78cm・7段)、1段に重さを集めたいならアイリスオーヤマのメタルミニ(1段約75kg)です。
置ける奥行きが25cm以下しかない
山善 STR-608L(21cm)か8tail(24cm)。メタルミニは35cmあるので入りません。
組み立てをひとりで、短く済ませたい
アイリスオーヤマ メタルミニ。5段ぶんの部品で済み、口コミでも組み立てが楽という声が複数ありました。
買う前に、できるだけ多くの声を読んでおきたい
山善 STR-608L。レビューが1,178件あり、自分と似た使い方の人が見つかります。
賃貸で、天井に跡をつけたくない
どの製品でも、突っ張る以上は圧迫の跡が残ることがあります。天井の当たり面に薄い板や布を挟むと、荷重が分散して跡が付きにくくなります。
買ったあと、最初にやること
- 箱を開けたら、部品を全部並べて数と状態を確認する:口コミでは、届いた時点で突っ張り部品が壊れていたという報告が複数ありました
- 置く場所で天井高を測り直す:部屋の中央と壁ぎわで数センチ違うことがあります
- 床がやわらかいなら、下に板を敷く:カーペットや畳は沈みます
- 天井の当たり面に、当て板か厚めの布を挟む:跡の防止と、荷重の分散になります
- 4本のポールを、対角線に少しずつ締める:1本ずつ締めきると、傾いたまま固定されます
- 「もう回らない」まで締めない:部品が壊れる原因です。手ごたえが重くなったら止めます
- 1段あたりの重さを決めておく:本なら1段25冊まで、といった目安を先に決めると、あとで棚がたわみません
- 数日後に、緩んでいないか触って確かめる:天井のクロスがわずかに沈みます
結論:天井の高さと、1段あたりの耐荷重
突っ張りラックでつまずくところは、2つに絞れると思います。天井の高さを測っていないことと、「全体耐荷重80kg」を1段の数字だと思ってしまうことです。
この2つさえ押さえれば、あとは置ける奥行きと、載せたいものの重さで決まります。薄いラックは1段が弱く、厚いラックは1段が強い。
そのかわり場所を取る。ここは引き換えなので、どちらを優先するかを先に決めておくと迷いません。
そして、どの製品でも共通していたのが、突っ張り部分は締めすぎると壊れるという点でした。
組み立てが終わったあと、最後にぐいと力を入れたくなるところですが、そこはこらえたほうがよさそうです。
まずはメジャーを持って、天井の高さを測るところからです。
天井の高さを測ってみて、迷うなら山善 STR-608Lから見てみてください。
203cmから突っ張れるので入る家が多く、奥行き21cmと薄いので置き場所も選びません。レビューも1,178件あります。
1段に重さを集めたいならアイリスオーヤマ メタルミニ(1段約75kg・天井219cmから)、冊数を稼ぎたいなら幅78cmの 8tail です。
条件は上の「状況別のおすすめ」に書きました。
※記載の価格・仕様は記事作成時点のもので、変更されることがあります。購入前に販売ページの最新の表示をご確認ください。


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